漢方薬Q&A
Q.漢方薬は新薬とは、どこが違うでしょうか?
A.漢方薬と新薬とは、親子のような関係です。
人類の長い歴史の中では、身近な天然物(生薬)が薬として使われてきました。そして、そうした生薬中の有効成分を取り出したり、それに簡単な科学的な手を加えたのが新薬で、誕生したのはわずか1~2世紀前です。
一方、漢方薬は2千年前に及ぶ使用経験を通して、効き目や安全性が確かめられてきています。
そして現在、使われている新薬の多くは、天然物に起源のあるものです。
A.新薬は、切れ味の鋭い、即効性のある薬です。
新薬は有効成分だけからつくられているわけですから、その分切れ味が鋭く、即効性があることが特徴ですが、反面、効き目が強く出てしまったり、使い方によっては好ましくない作用が出てしまうこともあります。
また新薬は、一つの薬でいろいろな症状をとることには不向きです。
A.漢方薬は、多彩な症状に対応できる薬です。
漢方薬は、いくつもの成分が助け合って働くことで、多彩な症状にマイルドな作用を示します。
また、「弱り目に祟り目」という言葉のように、人は免疫力が落ちた時は、病原菌に感染しやすいものです。ですから大切なことは、菌を殺すことだけではなくて、むしろ感染に負けない体質に変えて、病気に対する抵抗力を高めていくことです。こうした働きも、漢方薬の得意とするところです。
漢方薬は、合併症やいくつもの症状をかかえている患者様が増えている、これからの社会に適した薬だといえましょう。
Q.エキス剤と従来の漢方薬とは、どこが違うのでしょうか?
A.エキス剤は、最先端の技術を用いた工場で作り出されます。
従来の漢方薬は、昔ながらの方法を用いて、各家庭で、生薬を煎じてのむものでした。
しかし現在、医療機関で出されている漢方薬のほとんどは、高度な製剤技術を用いて作られた、煎じる必要のない、品質の安定したエキス剤(医療用漢方製剤)です。エキス剤は、最先端の技術を用いた、近代的な工場で作り出されます。
A.専門家が生薬を厳選し、品質を管理しています。
漢方薬は、原料が命です。原料の生薬によって製品の優劣は決まりますから、生薬を厳選することが最も大切です。そのためエキス剤では、専門家が一つ一つの生薬を厳選し、品質を管理しています。また、生薬は天然物であるため、変質しやすい欠点を持っていますが、エキス剤という形にしたことで、品質が安定しています。さらに、工場生産により、いつでもほぼ一定の品質の製品提供が可能になっています。
エキス剤は、患者様の立場を考えて作られています。
患者様の立場から考えますと、エキス剤は煎じる手間がかからず、匂いによる周囲への迷惑がなくなり、持ち運びが便利になり、手軽にのめるようになりました、加えて、煎じ方により個人差、すなわち、成分や濃度などのばらつきもなくなり、一定した効果が期待できるようになりました。
しかし、エキス剤は決められた処方にしたがって作られていますので、一つ一つの生薬の加減ができないこともあります。また、漢方薬の効果として重要な、香りの成分が少ないといわれることもありますが、香りの効果はごく少量でも十分にある、という報告もあります。
Q.漢方薬を水なしでのんでも、よいのでしょうか?
A.必ず、コップ一杯の水と一緒にのんで下さい。
薬を水なしでのむと、溶けるのに時間がかかり、薬の効果が表れるのが遅くなります。
また、まれに口や胃などを荒らしたり、入れ歯の間にはさまりやすくなったりします。
薬を早く溶かして、効果を出すためにも、ぜひ、水とともにのんで下さい。
また、人によっては、顆粒があやまって気道に入ってむせかえることもあります。
漢方薬に限らず、「薬は、コップ一杯の水とセット」と考えて、一緒にのむようにしましょう。
薬を適量の水で薄めて溶かすと、胃への負担も少なくなります。
A.溶かしてのむと、さらに吸収されやすくなります。
内服薬はのんだ後、消化管から吸収されて効果を表します。
顆粒のままでは吸収されませんので、コップ一杯の水をのみ、溶かすことが大切です。
漢方薬を吸収されやすく、効く場所に早く届くようにするためには、あらかじめコップ一杯の白湯で溶かしてからのむことをお勧めします。
A.溶かして、味や香りを十分に楽しんで下さい。
漢方薬は本来、生薬を煎じたままを飲んでいました。
漢方エキス製剤は生薬を煎じてできた液を濃縮し、乾燥させたものですので、白湯に溶かすことで、本来の形に近くなります。
コップ一杯の白湯に溶かして、味や香りを十分に楽しみながら、のんでみて下さい。
それが刺激となって、薬の効果を高めることもあります。