大腸カメラを受ける間隔は、前回の検査で何が見つかったかによって変わります。異常がなければおおむね5年後が目安とされ、ポリープを切除した場合は、その数や大きさに応じて1年後・3年後などの間隔が設定されます。

「毎年受けたほうがよいのか」「5年も空けて大丈夫なのか」という疑問は、多くの方が抱くところです。一律の答えはなく、前回の結果と個々のリスクに応じて決定するのが一般的です。

この記事では、次の3点を整理して解説します。

  • 異常がなかった場合の次回の目安
  • ポリープを切除した場合のリスク別・再検査の間隔
  • 便潜血検査との関係と、症状があるときの対応

なお、適切な間隔は前回の所見やポリープの病理結果によって異なります。最終的には、担当医の指示に従ってください。

大腸カメラの頻度は「前回の結果」で変わる

大腸カメラの受診間隔を検討する際、出発点となるのは「前回の検査で何が見つかったか」です。年齢やなんとなくの不安だけで決まるものではありません。

その理由は、大腸がんの成り立ちにあります。大腸がんの多くは、腺腫と呼ばれるポリープが時間をかけて変化して生じると考えられています。つまり、ポリープができやすい体質かどうかが、次にいつ検査すべきかを大きく左右します。

前回ポリープが1つも見つからなかった方と、大きなポリープを複数切除した方とでは、次に病変ができている可能性が大きく異なります。だからこそ間隔は一律ではなく、前回の結果に応じて設定されるのです。

検査後に「異常なしでした」と言われた場合も、「では次はいつ受ければよいか」まで確認しておくことが大切です。その確認が、その後の適切な受診間隔を決める手がかりになります。

異常がなかった場合の頻度

大腸カメラを受け、ポリープを含めて異常が見つからなかった場合の受診目安を解説します。

おおむね5年後が目安

日本消化器内視鏡学会の市民向け情報では、大腸内視鏡検査で異常が見つからなかった場合、次回はおおむね5年後が目安とされています。

「5年も空けて大丈夫なのか」と感じるかもしれません。しかし、大腸がんの多くは腺腫から時間をかけて発生・進行するため、一度きれいな状態を確認できていれば、数年のうちに進行したがんが生じる可能性は低いと考えられています。

また、大腸カメラには前処置の負担が伴います。腸管洗浄液を飲む工程を含めると丸一日がかりの検査となるため、受診によって得られる不利益と負担のバランスを踏まえてこの間隔が示されています。

ただし、これは「症状がなく、リスク要因もない方」を前提とした目安です。条件が変われば適切な間隔も変動します。

ポリープを切除した場合の頻度(サーベイランス)

ポリープを切除した場合、その後は「サーベイランス」と呼ばれる経過観察に入ります。定期的に大腸カメラを受け、新たなポリープができていないかを確認していく流れです。

ポリープを切除したという実績は、ポリープができやすい体質や傾向がある可能性を示しています。「切除したから安心」で終わりにせず、適切な継続観察を行うことが大切です。

まずは1年後に再検査することが多い

ポリープを切除した場合、まず1年後に再検査を行うのが一般的です。

これには2つの目的があります。ひとつは、切除した部位が問題なく上皮化(治癒)しているかを確認すること。もうひとつは、前回の検査で見落としがなかったか、新たなポリープが発生していないかを確かめることです。

そして、この1年後の検査結果をもとに、その後の観察間隔が決定します。ポリープの数、大きさ、および切除後の病理組織検査(悪性度など)の結果によって、3年後あるいは5年後といった期間が設定されます。

つまり、ポリープ切除後は「1年後に一度状態を確認し、その結果を踏まえて次回以降の間隔を決める」という手順を踏むことになります。

高リスク群は1年後(大きな・多数・がん治療後)

次に該当する方は、高リスク群として1年後の再検査が推奨されます。

  • 大腸がんに対して内視鏡治療または外科手術を受けた
  • 10個以上の腺腫を切除した
  • 20mm以上の大きな腺腫を治療した

こうしたケースでは、新たな病変が発生するリスクが相対的に高いと考えられています。とくに大腸がんの治療を受けた方は、残った大腸に新たな病変が生じていないかを注意深く観察し続ける必要があります。

多数のポリープが見つかった場合も同様に、病変が発生しやすい傾向を示しているため、短い間隔での定期確認が求められます。

1年後の検査で問題が見られなければ、その後の間隔を延長していく場合もあります。ただし最終的な判断は、その時々の内視鏡所見に基づきます。

中リスク群は3年後が目安

高リスク群に当てはまらない場合は、多くのケースで3年後の大腸カメラが目安とされます。

さらに、切除したポリープが2個以下であり、病理検査で悪性度が低い(低異型度腺腫など)と評価された場合には、3〜5年後という間隔が提示されることもあります。

ポリープ切除後の再検査の目安を整理すると、次のようになります。

区分当てはまる状況再検査の目安
高リスク群大腸がんの内視鏡・外科治療を受けた/10個以上の腺腫を切除した/20mm以上の大きな腺腫を治療した1年後
中リスク群上記に当てはまらないポリープ切除後3年後
低リスク群ポリープが2個以下で悪性度が低い3〜5年後
異常なしポリープを含め所見がなかったおおむね5年後

※上記の基準は一般的なガイドラインに基づく目安です。実際の間隔は、切除法や病理組織診断、患者様の全身状態を総合的に考慮して医師が判断します。

切除後には病理検査結果の説明を受ける機会がありますので、その際に「ご自身がどのリスク区分にあてはまるか」「次回はいつ頃受診すべきか」を確認しておくと安心です。

便潜血検査との関係

大腸がんを発見する手段は、大腸カメラだけではありません。自治体などが実施する対策型検診では、便潜血検査が主軸となります。

これら2つの検査は対立するものではなく、それぞれ異なる役割を持っています。

40歳以上は年1回の便潜血検査が勧められる

大腸がん検診としては、40歳以上の方に対して年1回の便潜血検査が推奨されています。便に微量の血液が混じっていないかを調べる検査であり、自宅で採便して提出する形式で行われます。

身体的負担が小さく費用も抑えられるため、集団検診として継続的に実施しやすい特徴があります。

便潜血検査で陽性となった場合には、二次判定・精密検査として大腸カメラを実施します。便潜血検査はあくまで「大腸カメラによる精密検査が必要な方を絞り込む」ための選別(スクリーニング)であり、検査単体で病名を確定させるものではありません。

重要なのは、陽性と判定されたら必ず精密検査を受けることです。「痔のせいだから」「前回も陽性だったが問題なかったから」といった自己判断で放置すると、早期発見の機会を逃してしまうリスクがあります。

なお、便潜血陽性に伴う精密検査としての大腸カメラは、基本的に保険診療の適用となります。

リスクが高い人・症状がある人の対応

ここまで挙げた目安は、無症状かつ標準的なケースを前提としたものです。リスク要因をお持ちの方や、自覚症状がある方の場合は対応方法が異なります。

家族歴がある人は積極的な経過観察を

地縁・血縁者に大腸がんの既往がある場合、そうでない方と比較して発症リスクが高まる傾向があります。

家族歴が存在する場合、若年期から新たなポリープが発生しやすいケースがみられます。そのため、標準的な基準よりも短期間での定期観察が必要となることがあります。

また、ご家族内に大腸がんやポリープが多発している場合は、遺伝性疾患(リンチ症候群や家族性大腸腺腫症など)の関与も考慮されます。該当する場合は、より若い段階から短いスパンで検査を行うことが推奨されます。

血縁者に大腸がん患者様がいらっしゃる場合は、受診時に血縁関係(続柄)や発症年齢を医師へお伝えください。この情報の有無によって、提示される推奨間隔が変わる場合があります。

症状があるときは頻度に関係なく受診を

以下のような症状が出現している場合は、前回の検査からの経過期間にかかわらず、速やかに医療機関を受診してください。

  • 便に血液が混じる、あるいは便が黒っぽく変色している
  • 便通の異常が続いている(下痢と便秘を繰り返す、便が細くなった)
  • 慢性的な腹痛や腹部膨満感がある
  • 原因不明の体重減少がある
  • 残便感が抜けない
  • 健康診断等で貧血を指摘された

「去年検査を受けたばかりだから大丈夫」といった理由で受診を先延ばしにすることは避けてください。定期検診の推奨間隔は、あくまで無症状の方を対象とした基準です。

とくに血便や原因不明の貧血は大腸からの出血を示唆する重要なサインです。「痔だろう」と自己判断せず、専門医による診察・検査を受けて原因を確かめることが大切です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 高齢になっても、若い頃と同じ頻度で大腸カメラを受け続けるべきですか?

年齢とともに大腸がんの発症リスクは高まりますが、一方で前処置や検査自体が身体に与える負担も大きくなります。そのため、ご高齢になるほど「検査によって得られる予防効果やメリット」と「検査に伴う身体的負担」を総合的に比較して判断することが求められます。持病の状態や全身の健康状態、万一病変が見つかった場合の治療方針なども含め、主治医と相談しながら決定していくことが大切です。年齢のみを理由に一律で判断されるものではありません。

Q2. 切除せず「経過観察」になった小さなポリープがある場合、検査の頻度はどうなりますか?

小さなポリープの中には、すぐにがん化する可能性が低いと判断され、即座に切除せず経過を観察する方針がとられるケースがあります。その場合の定期検査の間隔は、ポリープの大きさ、形態、個数等によって変動し、1年後あるいは数年後といった形で個別に指示が出されます。切除していないからこそ、指定された時期に状態を確認することが重要です。医師から示された次回の受診時期を確認し、控えを残しておきましょう。

Q3. 便潜血が陰性なら大腸カメラは不要ですか?

便潜血検査は手軽で有用なスクリーニング方法ですが、すべての病変を確実に捉えられるわけではありません。出血を伴わないポリープや一部の早期がんでは、検査結果が陰性となる場合があります。腹部症状がある方、大腸がんの家族歴がある方、過去にポリープを切除した経験がある方などは、便潜血検査が陰性であっても大腸カメラの受診が検討対象となります。ご不安な点があれば医師へご相談ください。

まとめ|前回の結果をもとに、自分に合った間隔を確認する

大腸カメラを受ける適切な間隔は、前回の検査結果によって決定されます。所見や異常が見られなかった場合は、おおむね5年後が受診の目安となります。

ポリープを切除した場合は、まず1年後に再検査を行い、その所見をもとに次回以降の間隔を設定するのが一般的です。大腸がんの治療歴がある方、10個以上の腺腫を切除した方、20mm以上の大きな腺腫を治療した方は「高リスク群」として1年後、その他のポリープ切除後は3年後、ポリープが2個以下で悪性度が低い場合は3〜5年後が目安とされます。

併せて、40歳以上の方には年1回の便潜血検査の受診が推奨されています。陽性と判定された場合は放置せず、精密検査として大腸カメラを受診してください。「痔の影響だろう」と自己判断で放置しないことが重要です。

また、血便や便通異常、原因不明の貧血といった症状が現れている場合は、前回からの経過期間にかかわらず速やかに医療機関を受診しましょう。

検査を受診した際は、結果の説明を受けるとともに「次回はいつ頃受けるべきか」を事前に確認し、メモなどに記録しておくことをおすすめします。ご自身に適した受診サイクルを把握しておくことが、確実な早期発見へとつながります。

参考文献

監修者情報

高松中央インタークリニック 院長 小林伸也

高松中央インタークリニック 院長

小林伸也

経歴

  • 2010年4月 香川大学医学部附属病院 卒後臨床研修センター 研修医
  • 2011年4月 屋島総合病院 内科 医員
  • 2015年4月 香川大学医学部 消化器・神経内科学 医員
  • 2018年3月 香川大学大学院医学系研究科(博士課程)修了
  • 2019年6月 香川大学医学部附属病院 消化器内科 病院助教
  • 2023年11月 高松中央インタークリニック 院長

取得資格/専門医

  • 医学博士
  • 日本内科学会 認定内科医
  • 日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医
  • 日本消化器内視鏡学会 四国支部評議員
  • 日本消化器病学会 消化器病専門医
  • 日本消化管学会 胃腸科専門医・指導医
  • 日本ヘリコバクター学会 H.pylori(ピロリ菌)感染症認定医

受賞歴等

  • 2018年3月 香川大学大学院医学系研究科博士課程 学長賞
  • 2023年5月 特許取得「内視鏡用回収デバイス」(特許第7274714号)